Q.建築家には何をどこまで面倒みていただけるのか、よく分かりません…
A.
このようなご意見は良くいただきますね。設計事務所の仕事は大きく分類すると調査、ミーティング、基本設計、実施設計、見積もり、予算折衝、工事監理、許認可手続きと範囲は広いんです。順を追ってご説明しましょう。

1・ミーティング
具体的にプランを作りはじめるまでには、細かい打合せが必要です。建築主が何を考えておられるのか、どのようなものがつくりたいのか理解するところから始まります。
打合せの際は総予算や具体的な要望についていろいろとディスカッションさせていただきます。事前に要望書、調査票等用紙をお渡しし記入していただくこともありますね。私共は建築主からヒアリングした総予算をもとに必要工事費、設計費、諸経費等を大まかに算出して工事規模や建物の構造、グレードなどを決定していきます。このとき建築主が手持ち予算の総額を正しく把握していることも大切な要素ですね。

2・プランの作成(基本設計)
打合せによりプラン作成に必要な資料がそろったら作図をはじめます。まずは平面プラン(間取り図)を作成し、建築主に納得いただいた段階で次に進めるようにすると効率的ですね。建築主としては提出された平面プランに訂正してもらいたいこと、質問したいことがあれば遠慮なく言っていただきたいですね。その後プランの練りなおし、立面図(建物の外観図、デザイン)などを作成します。必要に応じてイメージパースを作成し、デザイン検討します。建物に問題がでないように細かい敷地調査を再度行うこともあります。測量を行ったり、地盤調査をしたりもしますね。

3・細かい設計図書の作成(実施設計)
プランが進むにつれて仕上材の種類や水廻りの使い勝手など、細かい事項の打ち合わせを行います。私共はコストプランニング(概算見積もり)で予算的に納得いただいた段階で細かい実施設計図を作成します。設計図の枚数はかなりの量になります。木造二階建ての住宅でも最低30枚くらいにはなりましょうか。私共は設計図作成を進めていく段階で建築確認申請書と工事届けを最寄りの建築指導課に建築主の代理人として提出し、建築主事に法に適合している旨の確認通知書をもらいます。この確認通知書は融資を受ける際に必要になるので重要。

4・工事業者の選定から建物完成まで
私共は引き続き工事業者の選定、見積もり依頼、交渉、工事契約立ち会いまで行います。工事開始後は工事監理業務を行います。工事監理業務というのは工事が設計図通りに進行しているか確認し、施工が悪ければやりなおしの指示をしたりします。建築主の立場で現場を監理するのです。現場監督に指示をする立場ですね。現場で問題が発生すれば現場監督と協力しながら処理にあたり、現場監督からの質疑、検討要請に応えて工事が円滑に進むよう協力します。建物が少しでも良くなる様にサポートし、不良建物にならない様、第3者の目でチェックするんです。

5・完成後の検査と諸手続
工事が終了すると私共は竣工検査を行い、施工の悪い所があれば手直しを要請します。また、建築主事に完了届けを提出し検査済証をもらいます。この検査済証は融資に必要になるので重要ですね。登記については土地家屋調査士や司法書士の業務の範疇ですが、私共の方でご紹介させていただくこともできます。その他、設計事務所の業務には建築物の調査診断、管理メンテナンスなどもあります。



建築家は設計の第一歩から建物が引き渡されるまで、その後のメンテナンスを含めて建築主の良きパートナーとして、トータルにサポートしプロデュースする仕事です。建築における建築主の弁護士みたいなものですね。